こんにちは、並木町歯科です。
ご覧いただきありがとうございます。今回は歯の神経についてのお話していきたいと思います。
歯科治療の途中で、「神経は残せそうですね」や「神経をとる治療をしていきます」等と言われた事はありますか。
なぜ歯の神経をなるべく残そうとするのでしょうか?
実は、歯の神経を取ってしまうと、デメリットがたくさんあるのです。
①歯が死んで脆くなる 。
②歯が変色する場合がある 。
③痛覚がなくなりトラブルに気づけなくなる 。
④歯茎に痛みが出る場合がある。
⑤再治療が必要になることが多い 。
さらに詳しく解説します。
①歯が死んで脆くなる
抜髄(神経を取ること)をして歯髄(神経)を失った無髄歯は、歯が死んでしまい脆くなります。 歯髄には血管が通っており、この血管から栄養や水分が歯に供給されています。抜髄した無髄歯は栄養の供給がなくなり、枯れ木のように脆くなってしまいます。
強い食いしばりや外部からの衝撃、硬いものを噛んだ際などに、健康な歯と比べて無髄歯は容易に歯が割れたり折れたりしやすくなります。過去の論文では、根管治療を行なった歯の喪失リスクは、前歯で1.8倍、奥歯で7.4倍に上昇するという報告もあるのです。
②歯が変色する場合がある
抜髄すると歯が茶色や黒色に変色してしまう場合があります。
原因としてはさまざまなことが考えられますが、抜髄で血管を失ったことで、歯の代謝能力が失われたことが挙げられます。代謝能力が失われると、歯の組織の変性物などが象牙細管と呼ばれる歯の内部を通る細い管に沈着し、時間と共に変色するのです。
このような原因で変色した歯は、外側からのブラッシングなどでは白くなりません。
③痛覚がなくなりトラブルに気づけなくなる
抜髄のメリットとして痛みはなくなるこのですが、痛みが無いことはデメリットにもなります。
痛みがないということは、歯に異変が起きていても自分で気づけなくなります。そのため抜髄をした場合は、定期的に歯科で検診を受けたり、メンテナンスを受ける必要が出てきます。
④歯茎に痛みが出る場合がある
抜髄してからしばらく時間が経ったあと、歯茎に腫れや痛みが出る場合があります。
抜髄したことで空いた歯の中の空間で菌が感染し、その菌が歯茎に到達することで、歯茎の腫れや痛みを引き起こします。歯茎にまで菌が到達してしまった場合、再度治療が必要になりますが、抜髄よりも大掛かりな治療が必要になる場合も多く、治療の成功率も下がることがあります。
⑤再治療が必要になることが多い
せっかく抜髄をしても、治療方法やその時の状況にもよりますが再度根管治療が必要になる可能性は残ります。
抜髄は歯の根の内側の非常に細やかな空間が治療の対象となります。実際、歯髄の露出している部分は0.5mmにも満たないことが多く、肉眼での視認ができないほどです。
特に保険診療の限られた時間と設備の中での治療では、根管内部を傷つけたり汚れが残って、再治療が必要になることは多々あります。
最初の治療で適切に抜髄処置を行うことで、再治療の可能性を低下させることにつながります。
根管治療(歯の根の治療)は、何度も出来る治療ではありません。
可能な限り神経を保存する治療をしていく必要があります。
ご覧いただきありがとうございました。